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Photo: Hidemi/ Canon 10D/ IrisFilter5.6/ by Reiji Sakurai
ピンボケとの出会いと魅力
私がピンボケを意識するようになったのは、女性ポートレートの写真作品を撮るようになってから。というか本格的に撮影を始めてすぐということになる。それまで適当に風景スナップのような物を撮っていただけだった。
35mmカメラよりも圧倒的に被写界深度が浅い中判カメラで撮り始めたのが大きな要因。愛用しているRZ67は6x7cmのフィルムフォーマット。35mmフィルムよりもかなり面積が大きい。おのずとレンズも大きくなる。同じF値(レンズの明るさ)だとピントの合う範囲はものすごく狭くなる*1。つまり被写界深度が浅い。
人物、特に女性ポートレートを撮るとき、被写界深度の浅さが効いてくる。僕の場合、人物の目にだけピントを合わせて開放(F2.8)で撮影することがほとんど。6x7のF2.8というのはすごく被写界深度が浅く、バストアップで撮影した場合、目にピントを合わせるとまつげですでにピンボケが始まっている。ほんのわずか間違えるとまつげにピントが合ってしまって目にピントが合わず、力のない最悪な仕上がりとなってしまう。
きちんとピントを合わせると、女性をふんわりと柔らかに描画することができる。もちろん状況に応じて絞りを絞って、少し被写界深度を深めに撮ってもいい。
この「柔らかい描画」ということが、ぼけ味のひとつの魅力だと思う。

*1: 6x7の標準画角110mm/ F2.8は、35mmカメラの標準画角の50mmレンズだとF1.0よりも遙かに被写界深度が浅い。同じ標準画角でも6x7だとレンズが110mmになるので当たり前ですが。これによって豊かな被写界深度、つまり奥行き感や柔らかさが表現できる。


オリジナル画像。
もうひとつのぼけ味
ポートレート作品を撮る上で、背景を別撮りして合成するようになった。合成した背景はきれいにピンボケさせたい。元からピンボケで撮影した素材をストックしておくのも限界がある。そこで後からピンボケをさせるソフトを探し始めた。
背景のピンボケは主にきらきらした感じのものを好んで使っていた。ぼけ味のもうひとつの魅力はこのきらきら感。木漏れ日や波のきらめきの印象派の絵画のようなきらきらした感じがいい。
ピンボケのきらきらした円形や5・6・8角形などの重なりが美しい。自分自身、宝石などの「光り物」を身につけることはないが、このきらきら感にはすごく惹かれるものがある。
きらきら感と柔らかさ、この一見相反するもの両方がピンボケの魅力だ。ひょっとするとこの正反対のような現象が同じピンボケで表現されるものと言うこと自体も魅力なのかもしれない。